水泳を始めた理由


 水泳を続けている。地元の市民プールに1、2週間に1度のペースで通いはじめたのは、2年前の1月のことだった。なんとなくマラソン以外のスポーツをやってみたくなり、水泳をやってみようと思い立ったのが、そもそものきっかけだった。
 ちょっとまじめに水泳をするのは、高校生以来だから、実に40数年ぶりになる。
 この40数年間全く泳いでいなかった訳ではない。旅行でリゾートホテルに泊まった時にプールや海で泳いだり、たまには市民プールへ行ったりもした。
 それが、水泳を本格的に運動習慣に取り入れて、プール通いをはじめた訳なのだから、自分自身の中でなんらかの意識の変化があったのだろう。
 考えてみれば、先月で60歳を迎えた。高校生の頃などは、60歳はまだまだ遠い未来だと思っていた。日本では、60歳からは高齢者の区分に入る。ということは、自分はもうすでに高齢者という訳か?いや、そんなふうに決めつけないでほしい。
 人は、いつまでも若々しく、健康でありたいものだ。年と共に心身の状態が今より悪い方向に行くことだけは、なんとしてでも食い止めたい。健康であることは、自分のためだけではなく、家族のためにも大切なことだ。
 ぼくが自分の健康を意識するようになったのは、10年ほど前からだったと思う。ぼくには視覚と聴覚に障害があり、これらの障害に起因すると思われる、体の平衡機能の低下という困難をきたすようになっていた。しかも、年齢と共に徐々にまっすぐ歩くのさえ難しくなりはじめていた。 
 平衡機能の低下が進行するのだけはなんとか食い止めたい。歩けなくなることほど辛いことはない。どうしたものかといろいろ思案していたときに、偶然視覚障害者のマラソン練習会があるという情報を知った。マラソンは苦手だけれど、伴走者と走るという発想に惹かれ、このイベントに参加してみることにした。
 健康維持のためには体力をキープすることも重要だろう。そう考えたぼくは、伴走者と走れるのなら、ジョギングを始めてみようと考えたのだった。
 ところが、前述したようにぼくには平衡機能のバランスがくずれやすいという問題がある。走っていても、やはりバランスがくずれて、右へ流れて行く傾向にあった。
 走るだけでも疲れるのに、その上ふらふらしてまっすぐに走れないことはストレスにもなり、よけいに疲れる。そこで考えついたのが、水泳だった。
 水泳なら、プールの中をロープに沿ってまっすぐ泳げばよい。水泳も有酸素運動なので、健康維持にもよさそうだ。という訳でプール通いは今も続いている。
 水泳をするようになると、今度は自分の今の泳力が知りたくなった。
プール通いをはじめた年の5月に、東京都障害者スポーツ大会があることを知り、早速25メートル自由形にエントリー、チャレンジしてみることにした。
 そして、今年も同じスポーツ大会で競泳に出場する予定だ。目標があると、それを達成するためにがんばろうという気持ちになれる。
 人生100年と言われるようになって久しい。60歳からの第2の人生を豊かなものにしていくために、健康だけはしっかり管理していきたいものだ。

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