最近Kindleで気になるタイトルを見つけた。それは、「見えない妻聞こえない夫、二つの世界が目指す金メダル」(篠原徹良著、
2024年”
中央公論新社)だ。
「見えない妻、聞こえない夫」という言葉だけを見ると、「見えない世界」と「聞こえない世界」それぞれで生きて来た男女のサクセスストーリーのように思える。本書の「はじめに」で著者が書いているように、「視覚障害者」と「聴覚障害者」の交流はほとんどない。二つの世界の接点はどこにあり、どんなドラマがくりひろげられるのか、大いに関心を持った。
本書のメインストーリーは、サブタイトルにもある「二つの世界が目指す金メダル」、つまり視覚障害アスリートの高田千秋さんと、聴覚障害アスリートの高田裕士さんが、国内外の競技大会に出場し、金メダル獲得を目指すアスリート人生の物語だ。
障害の種類や有無を超えて結ばれるカップルは、決して珍しくはない。しかし、「全盲」と「全ろう」の夫婦は、かなり珍しいケースではないだろうか。なぜなら、二人の間には「コミュニケーション」の壁があるはずだからだ。高田夫妻は、どうやってコミュニケーションを取っているのだろうか?また、高田家が円満に生活できている秘訣は何なのだろうか?
本書を読み進めていく内に、そのなぞは少しずつ解けていく。千秋さんの持前の明るい性格が、ろう者である裕士さんと積極的に関わることを可能にしたのだろう。また、幼児期から受けて来た発声や読唇術のきびしい訓練によって、裕士さんが健聴者の中で生きていく術を身に着けたのだと思われる。さらに、二人の間には健常の息子がいる。そして何より、「陸上競技でメダルを取る」という共通の目標がある。
著者の次の言葉も印象的だ。「高田家の
トライアングルは、お互いを思いやりながら、一人ひとりが自由に遊泳できる柔軟さを合わせ持つ。見えなくても、聞こえなくても、家族の”きずな”で支えあっている。」
本書は、盲学校やろう学校、またパラスポーツやデフスポーツについても詳しく書かれており、大変参考になる。一方で、千秋さんと裕士さんのなれそめや、コミュニケーション、夫婦生活について、もっと知りたいとも感じた。
「見えない妻聞こえない夫」
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