Apple Watchの触覚フィードバック機能を使って盲ろう者が時間の確認などを手軽にできる

しんべいのBLOG

Apple Watchの触覚機能で時刻を確かめてみた

以前からApple Watchが気になっていた。マラソンの練習中、ラップを振動で知らせてくれると聞いていたからだ。

ただ、当時のぼくには、画面を自分で操作できるとは思えなかった。他人の手を借りなければ使えないなら、ランニングの記録のためだけに買うには高すぎる。そう考えて、購入を見送っていた。

ところが最近、Apple Watchには振動で時刻を知らせる「Tapticタイム」という機能があると知った。画面を見ず、音も聞かずに時間が分かるという。盲ろう者のぼくにとって、これは大きな発見だった。実際に振動を感じて確かめたくなり、店頭へ足を運んだ。

この記事では、触読式腕時計に感じていた不便さ、Tapticタイムを試したときのこと、そして購入後に使っている機能を紹介したい。購入したのはApple Watch SE 3のGPSモデルだ。

触読式腕時計で困っていたこと

ぼくは普段、文字盤の針に指で触れて時刻を確かめる腕時計を使っている。しかし最近、この時計が使いにくくなっていた。

時刻を確かめるには、文字盤を覆う蓋を開けなければならない。夏は汗の影響か蓋が固くなり、親指の爪を引っかけてもなかなか開かない。無理に開けようとして爪を痛めそうになることもある。針に触れた拍子に、うっかり針を動かしてしまうこともあった。

時計は毎日使う必需品だ。もっと楽に時刻を確かめる方法はないだろうか。

振動で時刻を知らせる腕時計には、Tac Touchやメテオなどがある。いずれもボタンを押し、振動から時、10分、1分を読み取る仕組みだ。最近はGRUSの振動式時計も見かけるようになった。そんな中、Apple Watchにも振動で時刻を確かめる機能があると知った。

店頭でTapticタイムを体験

近くのビックカメラに行き、Apple Watchを試したいと伝えた。展示品ではすぐにTapticタイムを試せなかったが、対応してくれた店員さんが自分のApple Watchで設定し、振動を体験させてくれた。

Tapticタイムでは、文字盤を2本指で触れたままにすると、手首への振動で時刻を知らせてくれる。VoiceOverを使っている場合には、画面が消えているときに文字盤をダブルタップする方法もある。

振動が手首に伝わってきた。「これなら、時計の蓋を開けなくても時間が分かる」。実物に触れて、ようやく自分が使う場面を想像できた。

振動から時刻を読み取る

Tapticタイムには「数字通り」「おおよそ」「モールス信号」の3種類の伝え方がある。

「数字通り」では、長い振動が10、短い振動が1を表す。例えば15時31分なら、時刻の「15」は長い振動1回と短い振動5回、分の「31」は長い振動3回と短い振動1回で伝えられる。「おおよそ」は15分単位の目安を知らせ、「モールス信号」は時刻の各桁をモールス信号で表す。

最初は振動を数えるのに集中したが、仕組みが分かると面白い。音を出さずに時刻を確かめられることが、ぼくには何よりうれしかった。

「0」はどう伝えるのだろう?

使い方を知るうちに、「0時00分の『0』はどう表すのだろう」と疑問が湧いた。「数字通り」では、振動の回数で10と1を表す。一方、「モールス信号」なら各桁を信号で表現する。

どの方式が読み取りやすいかは、実際に使い比べて決めたい。細かな時刻を知りたいときと、おおよその時間が分かればよいときでも、使いやすい設定は違いそうだ。

時刻以外も振動で知らせてくれる

Apple Watchは、通知やタイマーなども手首への振動で知らせてくれる。消音モードを使えば、周囲に音を出さずに通知を受け取れる。ぼくは触覚の設定を「はっきり」にしている。

メールなどは、Apple Watch側で通知を受けるアプリやアカウントを選べる。着信音に対応した触覚パターンを選べる通知もある。ただし、すべてのアプリで好きな振動パターンを個別に設定できるわけではない。通知の届き方を確かめながら、自分に合う設定を探しているところだ。

VoiceOverと点字ディスプレイを使って

購入を考えるうえで、時刻と同じくらい大切だったのが、自分で操作できるかどうかだ。店員さんに「点字で使えるように設定を手伝ってもらえますか」と尋ねると、快く応じてくれた。

購入後は、点字ディスプレイのブレイルセンス6を接続して使っている。画面の情報を点字で確認できるのは心強い。一方で、ぼくの使い方ではApple Watchから日本語のかな漢字交じりの文章を入力するのが難しく、メールやLINEの返信には不便を感じている。この点は、今後も使いながら確かめたい。

ぼくのApple WatchはGPSモデルだ。外出中、iPhoneをかばんに入れたまま手首で通知を確認できるのは便利だが、iPhoneを持たずに出かけた場合に使える通信機能は、Wi-Fiへの接続状況によって変わる。

これから日常の中で使っていきたい

Apple Watchには、時刻の確認のほかにも、運動の記録、タイマー、アラームなど、試してみたい機能がある。すべてを使いこなす必要はない。まずは毎日の暮らしで役立つものから、一つずつ覚えていこうと思う。

触読式腕時計の蓋が開かずに困っていたぼくにとって、手首の振動で時刻が分かるようになったことは大きい。Apple Watchが、これからどんな場面で役立つのか楽しみだ。

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