ぼくは酔っ払いではない!

##「脊髄小脳変性症」とはどんな病気?

 ブレイルセンスでインターネットニュースを何気なく読んでいたら、ふと気になる記事に手が止まった。ブレイルセンスとは、点字ディスプレイやメール、ブラウザ、Wi-Fi機能などを備えた、いわば「点字対応スマートフォン」である。点字を通して情報を得る盲ろう者にとっては欠かせない機器であり、ぼくも朝から晩まで手放せない存在だ。
 気になる記事とは、「脊髄小脳変性症」だった。どんな症状があり、なぜ気になったのかを書いてみようと思う。

###どんな症状があるか?
 その日ニュースで知ったのは、「脊髄小脳変性症」という病気の記事だった。国が指定する難病で、歩行時のふらつきや手の震え、呂律が回らないといった症状があるという。
 このうち「歩行時のふらつき」は、まさに自分にも当てはまる。また、「呂律が回らない」という点にも思い当たる節がある。言葉によっては、うまく発音できないことがあるのだ。たとえば「たかだのばば」と言おうとすると、舌がもつれてしまう。

 思い返せば、ふらつきの兆候は小学生のころからあった。長時間立っているのが苦手だったのである。それがはっきりと苦痛として意識されるようになったのは、四十六歳ごろだった。真っすぐ歩こうとしても体がぶれ、階段ではとくに下りが怖くなり、手すりが欠かせなくなった。

 症状はゆるやかに、しかし確実に進んでいる。かつて好きだったランニングも、思うようにはできなくなった。長時間走るフルマラソンなどは、いまの自分には難しいと感じる。

 それでも、日常の歩行は盲導犬のベイスやアーチが支えてくれているおかげで、大きな支障はない。彼らの存在には、感謝してもしきれない。だからこそ、少しでも症状の進行を抑えるために、筋力の維持には努めていきたいと思う。

 一方で、「手の震え」は自覚がないものの、気になることがある。自分の名前を書くのが難しくなってきたのだ。以前は問題なくできていたサインや住所の記入が、いつの間にか思うようにいかなくなっている。

###脊髄小脳変性症
 調べてみると、「脊髄小脳変性症」は、小脳と呼ばれる脳の一部の機能が低下することで現れる病気だという。これによって起こる症状は「運動失調」と総称される。原因としては、腫瘍や血管障害、炎症などさまざまなものがあるが、原因がはっきりしないものは「変性症」と呼ばれるらしい。さらに、その影響が脊髄にまで及ぶ場合、「脊髄小脳変性症」とされる。

 現在では、この病気の原因の多くが解明されつつあり、その約三分の一は遺伝によるものだとされている。ぼくの場合、脳に明らかな異常があるとは考えにくいが、亡くなった父が運動失調だったと聞くと、遺伝の可能性も頭をよぎる。

 とはいえ、素人判断は禁物である。まずは専門医の診察を受け、自分の状態を正しく知ることから始めようと思う。

###そして、ついに髄液検査を行うことに
 病気のことを知ってから、自宅近くで専門の病院を探したところ、「国立精神・神経医療研究センター(NCNP)」があることがわかった。さっそく予約を取り、通院することになった。昨年(2025年)12月のことだった。

 問診、触診、血液検査等一通りの基本的な検査を行った。そして、血液検査の結果からは、血液中の「葉酸値」がやや低いということがわかり、葉酸値を上げるための薬を処方され、約半年かけて服薬を続けた。その結果、葉酸値は正常値に戻ったが、それでも症状は改善していなかった。そこで、医師から「髄液検査」を提案され、10月8日に1日かけて検査を受けた。結果は来月(11月)に通院した時に医師から話がある予定だ。